スタジオ内が座敷わらし専用託児所に


 今度は二~三歳児の座敷わらしであろうか、最初は一体だったのがどこからともなく次から次へと「あそぼ、あそぼ~」と集まりだした。私が霊界の言葉を読み取れる事を知り、どんどん増えていったのである。

 その霊の子らは両親とはぐれてしまった地縛霊の子供達であろうか・・・

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朝までなんみょう数え唄

『ねぇねぇおじちゃん、おじちゃん、おゆうぎしよ~』

「え?どんなお遊戯?」

『なんみょうかぞえうた!』

『なんみょう数え唄?で、どうやるの?』

『こうだよ!まず両手を合わせて~』

「こうかい、合掌するんだね」

 (なん)といって小指と薬指の間を開ける、つぎに(みょう)といいながら薬指と中指の間を開ける、おなじように中指~人差し指~親指にいって今度は親指側から順番に開けていく、それを(なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう~法蓮華経)のリズムで歌いながら交互に数が増していくという数え唄である。

 「なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう~法蓮華経」

 「なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう~なんみょう法蓮華経」

 と、どんどん数が増えていくという数え唄だ。

 これがとても難しい。しかし座敷わらしたちは難なくどんどんと数えていく、それも正確に・・・

 それを交互に行うのだが、この勝負、何度やってもとても勝ち目がない、本当に魔の知恵は優れている。

 知恵比べではとてもかなわないのである。そしてそのお遊戯会は朝まで続いていった。

——————また一晩中一睡も出来なかった・・・———————————–

 そして翌朝、そのままスタジオ業務が始まった。バイトの北原君が出社してくるなり絶叫した。

「な、なんですかこの子供たちの霊は!」

 北原君の説明よると、目には見えないが自分の体に座敷わらしたちがまとわりつき、服をあっちから、こっちからと引っ張って「遊んでー!遊んでー!」とばかりにつきまとっているのが体中に伝わるのだそうである。

「どうすればいいんですか、この大勢の座敷わらしたち!

 もうこれじゃ仕事になりませんよ~」

 と、さすがに困りはてた様子であった。

「さーさ、帰って帰って、おじちゃんたちはこれからお仕事でちゅからね~また明日あそぼーね~」

———————あ、またいらん事言っちまった・・・————————————–