前世の恋人と妻の怨霊


『清美でございます~清美でございます~あなたの前世の恋人、清美でございます~お忘れですか~うらめしゅう~ございます~』

『芳江でございます~芳江でございます~お忘れですか~あなたの前世の妻芳江でございます~恨めしゅう~ございます~』

——-今度は前世での恋人と妻が一緒に降臨して来ただと?・・・記憶には当然全くないが・・・——————————————————————————–

 「恨めしい」とはどういうことであろうか?清美に聞くとこういう事だそうだ。

 私は過去世において女癖が相当悪く、今でいう「二股」をかけていたそうだ。その内、一人の女性と結婚した。その相手の名前が「芳江」という。

 そのことを知ったもう一人の女性、清美はそれを苦にあっという間に自殺してしまった。そしてまた芳江も私には他にも「清美」という恋人がいた事を知り、清美に続いて芳江もまた続いて自殺してしまったのだそうだ。

 そして芳江と清美もまた自殺したむくいで霊界に行くことも出来ず、この世で彷徨い続け、二体結託して私に取り憑いていた、という訳である。

—–私は昔からなぜか女運が悪いと思っていたが、過去世と今世での女の怨霊、都合三体の女の怨霊に恨みをかって取り憑かれていたとは・・・どうりで!と合点がいった—-

「お許しください、お許しください清美さま、芳江さま、全ては私の女癖が悪かったせいなのです。

 これから私は精神改革の修行をして女を絶ち、お二人を必ず成仏させてあげますから、どうかどうか、お許しください、私を自殺に追い込む事だけはかんべんしてください」

 私はまたもや気が狂ったように(いや完全に狂っていた)スタジオの中をグルグルと回り始めた。

 ついに呪いの儀式も三日目となり、完全に気が狂って意識が朦朧とする中、目の前になにやらピコピコと光る物体を見つけた。

「なんだ?このピコピコと光る物体は・・・」