
———————宗徳菩薩様は成長が早く、しかも知能も優れている——————————-
さらに宗徳菩薩様は成長し続け、その知能も高まっていった。しかしそれとは反対に私の脳は完全に悪霊らに支配されていった。本当に宗徳菩薩に聞けば何でも答えてくれた。私がすでに三日間睡眠をとっていない事も知っていた。そしてもう二度と眠らなくても良いとも言う。しかしその事は世間の人にはさとられてはならない。ではどうすれば良いのか・・・床に入って眠ったふりをし、私、つまり宗徳菩薩とテレパシーで語り合い多くの知識を身に付けていけば良い、という事である。
実際、もう二日間眠っていないにもかかわらず、なぜか意識がさえてきたようにも思えた。
そのようにして兄である宗徳菩薩様は、私が以前より興味のあった宇宙の事についても色々と教えてくれた。例えば天体には多くの惑星が存在しているが、それらには全てに生命体が存在していると言う。
その各惑星に住むという生命体とは、人格と肉体を持ち輪廻転生を繰り返すうちに生前の修行によって成仏を遂げる者、或いは地獄に堕ちる者と別れていく。そして肉体を持つうちにその惑星がいずれ死の星、つまり現在の多くの星の姿になるまでに成仏しなければならないという訳だ。
成仏した生命は人格を持つ精神の生命体となり、今現在でも惑星の周りを衛生のように浮遊し、永久に遊楽の境涯となる。しかし反対に地獄に堕ちた生命はその星の地中深く冥伏して二度と外に出られない。この地球もいずれ同様に死の惑星となるが、その前に我々は輪廻転生を繰り返しながらも遊楽の境涯、つまり成仏を遂げなければならない、という道理である。
私は以前、何かの本で肉体を持たない高度な知性をそなえた地球外生命体が存在するという内容を読んだ事を思い出した。「そういう事だったのか!」とあらためて納得し、森羅万象を覚知されている宗徳菩薩様の存在をさらに確信していったのである。
そして宗徳菩薩様は私に成仏するための精神改革の修行をするよう命じた。その修行法と道理とはこうである。
我々の霊魂は肉体に宿る以前、つまり霊界において多くの仲間たちとテレパシーで意思疎通していた。つまり思っている事は全ての仲間たちと共有するという事である。
非常に暮らしにくいとは思うがそれが当然であり、素直な心=純粋で裏腹な考えが起こらない、皆が幸福で過ごせる心豊かな霊魂の世界なのだそうだ。
——————-そういえば————————————————————————
私は幼い頃の事を思い出した。それは私が生まれる以前、つまりあの世の世界に時折遊びに行っていた頃の事である。誰もがありえない話と思うであろう。
よく母親に「今日は夢の国に行ってきたんだよ!」と喜んで話しても「そんな国はないんだよ、ただ夢を見ていただけなんだよ」と諭されていたが、私にとってはたしかにいつも見ている「夢」とは違う、確かな「現実」の霊魂世界だったのである。
その霊界の国には他にもいまだ出生していない兄弟や親戚、友人が大勢いて私はなぜか五番目の末っ子であった。実際には長男であるが・・・
そして現実の世界に戻る時、いつも上空から私の魂は降下し、雲を通り抜け、クルクルと回転しながらもレンガ色の一軒家の屋根が見えてきたかと思うとスゥッと自分の身体に戻り、目がさめるという体験である。
ある学説でも小児の時、つまり身体が成熟する以前、時々霊魂が抜け出し霊界を行き来しているのではないか、という仮説を聞いたことがあるが、まさしくその事であろうか・・・