
取り憑かれて二日目の夜、少しでも体を休めようとスタジオ内で横になった。眠りにつけたわけではないが、無意識的に睡眠を取らなければ身がもたない、悪鬼妖怪らの宣言通り、本当に死んでしまうと感じたのである。
————————-すると今度は嗅覚に異変を感じた———————————-
何やら今までに経験した事のない、例えてみれば日本の古の時代、平安京の一七~二十歳位の女性たちの女体から放たれるような、何ともいえないフェロモン系の感応的香りが、ふわーっと上の方から漂い降りてきたのである。
と同時にその女性たちであろうか、イメージとしては数十人のその女体が私の横になっている周りを囲み、一斉に「みょ~ぅ」という悩ましい声と同時に私の身体中を吸引しだしたのである。
しかし全くその姿は見えない。
———-この現象には男性としては、もうひとたまりもなかった・・・———–
もうろうとする意識の中、あれよあれよという間に体全体は硬直し、うかつにもそのまま昇天「イチモツから抜かれ」てしまったのである。
しかし自分では実際、私の体に“抜かれた”感覚は確かに感じたものの、物理的には何の痕跡もなかったのである。
まどろっこしい言い方になってしまったが、要するに「射精したのにパンツはまったく汚れていなかった」という事である。