
当MDスタジオでは外画の吹替業務を行っている。当然その中にはホラー映画の吹替もある。
ある外国ホラー映画の吹替の当日、もう皆さんもお気付きの事であろう、その通り!収録現場に本物の悪霊の声が収録されてしまたのである。
これには納品後大問題となった。
収録の現場では全く気付かなかった訳であるが、DVDオーサリング編集作業後の段階で発覚したのである。もはや手遅れ、納品期限に間に合わず対応出来ない。
実際には台本にはない、
『マルティン!』
という、登場キャラクターの名を呼ぶセリフが入っていたのである。その絶妙なタイミングといい、迫力の声といい、さっすが本物!プロフェッショナル!
その満点の演技には最優秀吹替ベスト演技賞をあげたいくらいだ!
(あ、当然か・・・)
収録当時は誰の耳にもそれが(本物の声優さんのアドリブ?)としか聞こえず、現場スタッフの誰もが全く疑う余地はなかったのである。
———————-しかし最終チェックの段階でバレてしまった———————
「なんだ、このセリフ・・・台本にないし収録時、誰も言ってなかったぞ!」
結果、暗黙のうちに数百枚市場に出荷されてしまったが、二十年も前の事なのでこれも時効であろう。
———————-TATUYAさん、ごめんなさい、この場を借りてお詫び申し上げます・・・—————————————————————————————